2014年11月 のアーカイブ

名誉の誓い – An Honorable Vow

2014年11月14日 金曜日

11月13日付けでuo.comに掲載された“An Honorable Vow”の和訳です。
できるだけ原文に忠実に翻訳しておりますが、フィクションの性質上一部意訳も含みますことをあらかじめご承知おきいただければ幸いです。
場面転換の際にわかりづらい個所がありましたので、一部原文にないアスタリスクを入れてあります。

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“サー、私は何も言いますまい。”

“そうしてくれ。”

ヒューマンが、エルフが、そしてガーゴイルたちが一様に戦っては散った戦場を彼が調査する間、返事は簡単なものであった。彼はそれがどちらに所属するものなのか、しるしを失ってもはや判別がつかなくなった壊れた剣を拾い上げた。戦いは厳しく、今も続いており、そして彼が再び旅立った後も……続くであろうこともわかっていた。しかしこの戦いは必然なのだ。背徳と悪は常にこちらの対極にあり、これらの存在なくしては何も残らない。

“サー、我々は……。”

ロード・ブリティッシュはため息をつき、立ち上がってクロークをはらいのけると背を向け、ムーンゲートへと歩をすすめた。ガードに他意はないのであろうが、これ以上彼を伴って行くつもりも毛頭なかったのだ。しかし、ブラックソーン王は彼がこの地に長く留まり過ぎだと、王ですら、この古き地を放浪する者たちから慈悲を受けることはないのだとそう告げた。彼はフェルッカを後にする前にもう一度だけ辺りを一瞥し、彼がこのようにして去るのはまだ若干早いことを知った。

* * *

“サー・デュプレ、勝利に立ち会えたことと、君がほとんど変わらないことを嬉しく思うよ。とりわけ酒飲みで仲間であり続けてくれることにね。”

ロード・ブリティッシュはミナックスやアノンの軍勢の多くが再び攻め入らんと傷を癒すために退却したにだけにもかかわらず、騎士たちとともに祝杯をあげる友人に向かって“The Keg and Anchor”のテーブル越しに意味ありげに微笑んだ。

“我が君主よ、この世界にはあらゆる不安定な要素がある。しかしトリンシックの酒は常に安穏な天国だ。”

騎士は再び盃を置くまでに、かなり長くそれを飲んだ。

“けれどあなたは私を祝福する以上の意図を持って会いに来られたと見える。そのような時いつもあなたはまるでそれが義務であるかのようにことを押し進めようとなさる。ならば時間を無駄にしないよう、早速私に預けていただこう。ことが済めばまた飲んで騒げるのでね。”

“君がフェルッカで決して屈しないのはいいことだ。古きしきたりにおいて、それらを守る人々とともにね。あまりに多くの者たちが、ただ争いと対立を避けようと安易な道を選び過ぎているように思う。戦わねばならないという信条を、そして戦うべき戦いをなおざりにして。”

ロード・ブリティッシュは考えをまとめようとしばし沈黙し、そして続けた。

“ミナックスの信奉者……そしてアノン、彼の背信はもはや確定したと言わざるを得ない……彼と戦わなくてはならないのは悲しいことだ。彼らが信奉する背徳が我々の地を支配することがあってはならない。徳こそ再びブリタニア全土で支持されなくてはならない。あなたは私が知りうる限り、最も名誉ある人物だ。サー・デュプレ、あなたに誓いを立てていただきたい。あなたがかつてしたように、王国に、そして王と徳に。しかし、今やあなたの新しい王のために。”

デュプレは盃を置いており、カンタブリジアンの言葉を落ち着いた様子で聞いていた。そして、口を開いた。

“私はブラックソーン王にそうする理由がない……。”

ロード・ブリティッシュは彼がそれ以上続ける前に遮った。

“君がそうすると思っているわけではない。しかしこれは象徴であり、誓いは力を持つ。徳の理由たるものに公に誓うことで、多くの者たちが君の名の威光の下に、同じ旗に集うだろう。今なお多くの者たちが、ミナックスとエクソダスによる陰謀のために、ブラックソーン王に対して気後れし、疑惑を持っている。君は自分でそれを認めようが認めまいが、尊敬され、慕われていて、そのように生きる責任があるはずだ。”

デュプレは盃をあおって空にし、ロード・ブリティッシュに答えるまで、ずいぶん長い間それに目を落としていた。

* * *

ブリテインの街を行く間、肩の荷は彼に重くのしかかり、彼の城の入り口を入ることなく通り過ぎる時には、名残惜しそうに立ち止まり、しばしそれをじっと見つめることを願わずにいられなかった。それはまだそこにあり、空のまま待ちわびており、再び生気を吹き込まれる時を見ようとしていた。しかしロード・ブリティッシュはそのまま南をめざした。川べりを進み、通りでタウンクライヤーが何をか叫ぶのを耳にした。

“号外! 号外! サー・デュプレが背徳の軍勢と、売国奴ミナックスの信奉者は根絶すると宣誓した! 来たれ、有志たちよ! そして彼を支援するために戦うすべての屈強な市民を歓迎する!”

彼のフード付きのクロークは彼が何者であるかを覆い隠し、衆目にさらされることのないようにしていたが、去り際に彼の唇の端には笑みが浮かんだ。とはいえそれほどの注目を浴びることもなかったであろう、殆どの者は武具や鎧を準備し、獣と呪文を従え、まさに行動しようとしていたのだから。彼はマラスのダンジョンDoomで持ち上がっているという、奇妙な事象について叫ぶタウンクライヤーの遠ざかりつつある声を聞きながら、ムーンゲートへと続くかつて知ったる道を辿った。どこへいようともやり残されたことが山積みの中、戦いの陣頭指揮を執ることも、自ら行動することもかなわなかった間、ブラックソーン王とサー・デュプレがこの地をミナックスの手に渡すことはしないことを彼は確信していた。そして自身がこの地へ戻って来るであろうこともわかっていた。この旅がいつまで続くのか、どこへ向かうのかはようとして知れずとも。

追憶 – Remembering the Past…

2014年11月4日 火曜日

uo.comに9月26日付けで掲載された“Remembering the Past…”、EM Drosselmayerによるブリ王帰還時のフィクションです。
一見したところどこにも和訳がないようなので、拙訳を掲載します。
できるだけ原文に忠実に翻訳しておりますが、一部意訳も含みますことをあらかじめご承知おきいただければ幸いです。

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ヘクルスは二つのグラスにワインを注ぎ、それぞれを二人の王に手渡した。ブラックソーン王が頷く間、ロード・ブリティッシュは道化に向かって微笑んだ。そしてふたりの王は再び会話に戻った。

「それにしてもあなたがニスタルの手を借りずに戻って来られたのは驚くべきことだと言わねばなるまい。こんなにも長い間どこにいたのかね?なぜこんなにも時間がかかったのかね?」

ロード・ブリティッシュはワインをひと口飲むとグラスを置き、口を開く前に五本の指をわずかに尖らせるようなしぐさをした。

「わたしは……皆が知るように新たな冒険の旅へと自分を追いやっていたんだ。私は宇宙へ旅立った。地球上のあらゆる束縛から逃れ、本当の自由とは何かを感じながらね。そしていっしょには来れなかったが、愛する人と……決して壊れることのない絆を手に入れた。振り返ってみれば、まったく新しく深遠な体験として、徳の在り方に対する自問や思惑や思慮が自分の中によみがえって来ていることに気づいたよ。直接的に不思議な体験をすることでね……そう、特に新たな命をこの世にもたらすことができた時には。それらを通じてわたしは不死の宝珠の欠片を手に入れた……それらは今は脅かされることなくニスタルとともにある。私はブリタニアへ帰還の時がやって来たことを知った。だが世界は苦悩しているように見えた。わたしが城の上の歩道を歩いていた時に見た、まさに去ろうとしていたあの男は、あれはサー・デュプレかね?」

ブラックソーン王は友の顔が王を楽しませようと冒険について語る間、あふれんばかりの情熱に輝くのを見て明るい気持ちになった。

「そうだ……。彼だ。ミナックスのパワーの復活に直面して彼は自身を厳しいまでに追い込んでいた。どうにか我々はミナックスの軍勢を押し返したように見えたが……彼女はシャンティという新たな部下を得て、不死の宝珠の欠片を用いて灯台から暴徒を呼び出したんだ。」

ブラックソーン王はワインをひと口飲むと沈黙し、微かな尊厳をその声ににじませながら続けた。

「現れた古き敵は彼女だけではない。再び解き放たれたエクソダスもまた……デュプレと彼の騎士と破片世界の冒険者たちが彼を隔離したが、かつてわたしがしたように彼を完全に亡き者にすることは不可能なようだった。我々はアノンの協力を求めたが、世界とメイジ評議会を共生させようという彼の願いと裏腹に、あまりに長い孤独な時間は彼をそれよりはるかにエキセントリックな狂気へと追いやってしまったようだ……そしてもしその報告が信頼に足るものであるとすれば、メイジ評議会は自ら多大な犠牲を払ったミナックスの残党に散り散りにさせられたはずだ。フェルッカは混乱を極め、血も涙もない戦いと殺戮とが日夜繰り広げられているようだ。」

ブラックソーン王がワインをもうひと口飲むと同時に悲しげな微笑がの唇の端に浮かんだ。

「残念ながら君はパレードのために最適な時期に来たとは言い難い。」

ロード・ブリティッシュは頷くと同時に表情は厳しいものになり、こちらに体を傾けた。

「まだ我々にできることはあるはずだ。」

* * *

石壁に投げつけられたゴブレットが激しい音をたて、メッセンジャーは彼女の怒りから逃れるように後ずさった。

「うそおっしゃい!」

シャンティは部屋の角に立ちつくし、スパイとミナックスの間で繰り広げられる出来事をただ見つめていた。

「し、しかし、レ、レディ・ミナックス、これは噂話ではないのです……わたしはこの目で見たんです。デュプレが城を去るほんの少し前に、彼が城に入って行くのを。あなた様がデュプレを見張れとおっしゃって、我々がどうやって……。」

「このまぬけが!騎士どもが最大の脅威だって言うのかい?あんなのは小うるさくてイライラさせるだけで、虫みたいにひねりつぶすなんてわけないことなのに、お前はロード・ブリティッシュを目の前にしてなんで殺っちまわないんだい!」

「あっしは城の下にいたんで……そこには呪文が張られて……。」

ミナックスの手が男の頬を打ちつけ、何かが割れる鋭い音があたりに響くと同時に、彼女の爪が男の顔に食い込んだのであろう、小さな血痕を残して男が床に転がった。

「言い訳は聞きたくないわ。畜生め。行け。今すぐに。あたしの気が変わる前に……すぐにアノンを連れてよこして!無駄にしてる時間はないわ!」

* * *

「そしてアララトもよみがえった……やっかいだ、しかし、魅惑的だ。」

ロード・ブリティッシュは空のグラスを置いた。

「それらはまるですべてのピースが新たな政権のためにリセットされたように見える。いずれもまだ混沌の中にあり、間違った場所にあるように見えようとも。敵は王国を包囲し、そして……。」

ロード・ブリティッシュは沈黙し、顛末を聞いたことで少しだけまゆをひそめた。ブラックソーン王は立ち上がり、窓から城の中庭を見つめた。

「どうやら噂が広がるのは早いようだ……人々が君が戻ったという噂の真偽を確かめようと詰めかけているよ。カンタブリジアン(ロード・ブリティッシュ)、暴徒が襲撃する前に、彼らの願を叶えてやった方がよさそうだ。」

ブラックソーン王はそう告げると、玉座の間へと向かった。