名誉の誓い – An Honorable Vow

11月13日付けでuo.comに掲載された“An Honorable Vow”の拙訳です。
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“サー、私は何も言いますまい。”

“そうしてくれ。”

ヒューマンが、エルフが、そしてガーゴイルたちが一様に戦っては散った戦場を彼が調査する間、返事は簡単なものであった。彼はそれがどちらに所属するものなのか、しるしを失ってもはや判別がつかなくなった壊れた剣を拾い上げた。戦いは厳しく、今も続いており、そして彼が再び旅立った後も……続くであろうこともわかっていた。しかしこの戦いは必然なのだ。背徳と悪は常にこちらの対極にあり、これらの存在なくしては何も残らない。

“サー、我々は……。”

ロード・ブリティッシュはため息をつき、立ち上がってクロークをはらいのけると背を向け、ムーンゲートへと歩をすすめた。ガードに他意はないのであろうが、これ以上彼を伴って行くつもりも毛頭なかったのだ。しかし、ブラックソーン王は彼がこの地に長く留まり過ぎだと、王ですら、この古き地を放浪する者たちから慈悲を受けることはないのだとそう告げた。彼はフェルッカを後にする前にもう一度だけ辺りを一瞥し、彼がこのようにして去るのはまだ若干早いことを知った。

* * *

“サー・デュプレ、勝利に立ち会えたことと、君がほとんど変わらないことを嬉しく思うよ。とりわけ酒飲みで仲間であり続けてくれることにね。”

ロード・ブリティッシュはミナックスやアノンの軍勢の多くが再び攻め入らんと傷を癒すために退却したにだけにもかかわらず、騎士たちとともに祝杯をあげる友人に向かって“The Keg and Anchor”のテーブル越しに意味ありげに微笑んだ。

“我が君主よ、この世界にはあらゆる不安定な要素がある。しかしトリンシックの酒は常に安穏な天国だ。”

騎士は再び盃を置くまでに、かなり長くそれを飲んだ。

“けれどあなたは私を祝福する以上の意図を持って会いに来られたと見える。そのような時いつもあなたはまるでそれが義務であるかのようにことを押し進めようとなさる。ならば時間を無駄にしないよう、早速私に預けていただこう。ことが済めばまた飲んで騒げるのでね。”

“君がフェルッカで決して屈しないのはいいことだ。古きしきたりにおいて、それらを守る人々とともにね。あまりに多くの者たちが、ただ争いと対立を避けようと安易な道を選び過ぎているように思う。戦わねばならないという信条を、そして戦うべき戦いをなおざりにして。”

ロード・ブリティッシュは考えをまとめようとしばし沈黙し、そして続けた。

“ミナックスの信奉者……そしてアノン、彼の背信はもはや確定したと言わざるを得ない……彼と戦わなくてはならないのは悲しいことだ。彼らが信奉する背徳が我々の地を支配することがあってはならない。徳こそ再びブリタニア全土で支持されなくてはならない。あなたは私が知りうる限り、最も名誉ある人物だ。サー・デュプレ、あなたに誓いを立てていただきたい。あなたがかつてしたように、王国に、そして王と徳に。しかし、今やあなたの新しい王のために。”

デュプレは盃を置いており、カンタブリジアンの言葉を落ち着いた様子で聞いていた。そして、口を開いた。

“私はブラックソーン王にそうする理由がない……。”

ロード・ブリティッシュは彼がそれ以上続ける前に遮った。

“君がそうすると思っているわけではない。しかしこれは象徴であり、誓いは力を持つ。徳の理由たるものに公に誓うことで、多くの者たちが君の名の威光の下に、同じ旗に集うだろう。今なお多くの者たちが、ミナックスとエクソダスによる陰謀のために、ブラックソーン王に対して気後れし、疑惑を持っている。君は自分でそれを認めようが認めまいが、尊敬され、慕われていて、そのように生きる責任があるはずだ。”

デュプレは盃をあおって空にし、ロード・ブリティッシュに答えるまで、ずいぶん長い間それに目を落としていた。

* * *

ブリテインの街を行く間、肩の荷は彼に重くのしかかり、彼の城の入り口を入ることなく通り過ぎる時には、名残惜しそうに立ち止まり、しばしそれをじっと見つめることを願わずにいられなかった。それはまだそこにあり、空のまま待ちわびており、再び生気を吹き込まれる時を見ようとしていた。しかしロード・ブリティッシュはそのまま南をめざした。川べりを進み、通りでタウンクライヤーが何をか叫ぶのを耳にした。

“号外! 号外! サー・デュプレが背徳の軍勢と、売国奴ミナックスの信奉者は根絶すると宣誓した! 来たれ、有志たちよ! そして彼を支援するために戦うすべての屈強な市民を歓迎する!”

彼のフード付きのクロークは彼が何者であるかを覆い隠し、衆目にさらされることのないようにしていたが、去り際に彼の唇の端には笑みが浮かんだ。とはいえそれほどの注目を浴びることもなかったであろう、殆どの者は武具や鎧を準備し、獣と呪文を従え、まさに行動しようとしていたのだから。彼はマラスのダンジョンDoomで持ち上がっているという、奇妙な事象について叫ぶタウンクライヤーの遠ざかりつつある声を聞きながら、ムーンゲートへと続くかつて知ったる道を辿った。どこへいようともやり残されたことが山積みの中、戦いの陣頭指揮を執ることも、自ら行動することもかなわなかった間、ブラックソーン王とサー・デュプレがこの地をミナックスの手に渡すことはしないことを彼は確信していた。そして自身がこの地へ戻って来るであろうこともわかっていた。この旅がいつまで続くのか、どこへ向かうのかはようとして知れずとも。

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