剣と魔法のファンタジー世界にありながら、D&DのようなTRPGが追求し続けたものは何であったかと問われれば、自分はそれは「リアリティ」であると即答するだろう。電子化、商業ベース化されてもまだなお、ウルティマ オンラインや各種のMMORPGにその潮流をTRPGに汲むものは少なくない。
ウルティマ オンラインは長きにわたる歴史の中で幾多の運営方針の変換を経て、多様化するプレーヤーの要求を満たし続け、多種多様なコンテンツを内包しながらいまだに進化し続けている。そんな中、いわば原点回帰とも言えるコンテンツが登場した。それが、「評議会」である。
リアリティを追及する方法は、リアリティの定義の数だけあるだろうけれど、自分は何と言っても各種の「縛り」だと思っている。それはつまり演じるキャラクターが世界設定はもとより、職業を与えられることによって生じる各種の制限である。魔法使いが剣を降り回して周囲の敵をなぎ倒すことは当然ないし、戦士が呪文を諳んじることも本来であればない。
考えてみよう。
あなたがガードたちの目をかいくぐり、武器を携えて評議会室に入室することが果たして可能だろうか?
あなたが王の発言を遮り、先んじて発言することが許されるだろうか?
そして王よ。
あなたはかがんで物を拾うだろうか?
民から進呈された食べ物を、いきなり口に入れることがあるだろうか?
この「評議会」において物理的に可能なことをすべて是としてしまうことほど愚かなことはない。
もう一度よく考えてみてほしい。
かつてのTRPGがそうであったように、リアリティあふれるそれは大人たちを何時間でも夢中にさせるのだから。