若すぎた獅子

なんとなく風のうわさに聞いてはいたが、内紛に揺れたStraticsはあれからどうなったのか。
私はStratics内部に直接の知り合いはいないし、表面に出てきたこと以外知る由もない。まったく根拠のないことを書くつもりはないが、ここに書かれたことは私が知り得た断片を私なりにつなぎ合わせただけの駄文であることをはじめにお断りしておきたい。

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Straticsの前オーナーであるTaylor V. Smith氏は、2014年10月に現オーナーであるBazaaro Community, IncにStraticsを売却している。彼のLinkedInを見る限りでは、彼が実体を伴わない、いわゆる“●業”を飯の種にしてきた人物であることが非常によくわかる。
2008年、彼は自分のキャリアをいわゆる自助小説(self-help novel)ライターとしてスタートさせている。それをデジタルコンテンツとして発展させ、所有権や投資の管理を行ったことが彼のキャリアの出発点となっている。
2009年にMMORPGの最も古いコミュニティサイトであるStraticsに活躍の場を移してからは、インタビューや新たなコンテンツの立ち上げなどを行ってコミュニティの発展に寄与したということになっている。2010年には”Off Topic” と “Spiels and Rants”というフォーラムのモデレーターに着任している。
2010年にStraticsはThe Game Net(後のTGN.TV)に移管されるが、なぜかこの時TGNのオーナーであるGeorge Vanous氏によってTaylor氏はStraticsのHeadに指名されている。
翌2011年には編集局長に就任し、ポータルサイトに関するビジョンの樹立とフォーラムの組織化を謳い、フォーラムモデレーターをリクルートし、教育し、組織化しようとしたという。現在に至るまでに実現できているかどうかともかく、コミュニティのソーシャルネットワーク機能を拡充し、同時にコミュニティの保全にも努めようとしたとある。実際にこの人はTwitchなどの媒体を使ってゲームを実況しようとしたり、この古参のコミュニティサイトにあって、草の根マーケティングをもう一歩前進させようと様々な試みを行った人だという印象はある。
1998年というPCゲームの黎明期に発足した古参のコミュニティサイトは当時、UOのみに留まらず、エバークエストやWoWといった他のゲームスレッドも抱えて巨大化しており、運営の大部分をボランティアに頼っていた。サイトの規模が拡大すればするほどホスティングや帯域幅にかかるコストがかさんでいたことは想像に難くないし、だからこそTaylor氏が新たなビジネスモデルを樹立するために改革を推し進めて来たという好意的な見方もできないことはない。
さもありなんと言うべきか、Taylor氏は2012年10月に最高経営責任者に就任するも、わずか1年11か月でStraticsを売却してしまう。長居をせずに早々に見切りをつけたのは英断とも言えるが、退職してしまったモデレーターたち、一度崩壊してしまったコミュニティは二度と元には戻らない。
さてそんなStratics.comであるが、WikipediaにはReturn to Roots(根本への回帰)と題してこんな一文が掲載されている。現在、他のゲームをすべて排除し、その活動をUOのみに特化しているという。

“Straticsは現在、黎明期に何がこのサイトをここまで有名にしたのかという根本に立ち返ろうとしている。個々の参加が情熱的なゲーミング・コミュニティを作り上げたのだということに。”

UOは宣伝が下手だということはよく言われる。いわゆる“サービストライアングル”はマーケティングの基本だ。

企業と顧客 – 企業が提供する商品やサービスを示す。いわゆる通常のマーケティング(対外的マーケティング)の関係性
企業と提供者 – 企業と従業員との関係性。インターナルマーケティングの範疇
提供者と顧客 – 従業員と顧客との接点、サービスを示す。インタラクティブマーケティングの範疇

上記の3つの関係のバランスが図られることがサービス提供の重要なポイントとされる。
(exBuzzwordsより)

UOにおいてはいわゆる“インタラクティブマーケティング”の比重が非常に高い。Dev Meetingの実施やEMとプレーヤーの関係性もこれに当たる。しかし、一般にUOが宣伝が下手と言われてしまうのは“対外的マーケティング”の決定的な欠落の所以であろう。これでは新規プレーヤーなど絶対に呼び込めまい。しかし、新規を呼び込んだからと言って、現在のあまりに複雑化してしまったUOに、初心者に必要なチュートリアルや解説が内外に整備されているかと言ったらそうではないのだ。ないものをないと騒ぐのは簡単だが、現状のUOにおいて声高に叫ぶほど、広告宣伝が成果を上げるかどうかは疑わしい。もちろん、だからと言って復帰者などを含めたサポートを何もしなくていいと言っているわけではないし、おそらくTaylor氏が夢見たのもコミュニティサイトと草の根マーケティングの融合であり、新規者も復帰者もコミュニティがまず受け皿となるような、そんな理想郷だったのではないだろうか。なぜ彼が夢破れたかについてはいくつか思うところがあるが、一番の敗因はコミュニティに値段をつけようとしたことではないかと思う。しかし、いずれも私個人の憶測の域を出ないため、これ以上は差し控える。
そんな彼がStraticsを売却するおよそ半年前に、あるスレッドにややもすれば我田引水とも思えるこんなレスをつけていた。ちなみに、彼がしれっとレス内に貼り付けている自分の会社のURLは、現在デッドリンクとなっている。

古い質問だけど復帰していいと思う?

2014年3月26日に投稿されていたTaylor氏のレス #2

これについて決定的な答えを与えることは誰もできないと思います。しかし、私がまだUOの発展に期待する理由をお話ししましょう。EAはまだフランチャイズのオーナー権を保持していますが、新生ブロードソード社がUOとDAoCの版権と運営に関する独占ライセンスを手にしました。
ブロードソードは12人から15人の従業員でスタートし、UOとDAoCという二つの収入源があります。メンテナンスにについては成長は期待されますが、スタート時点では利益をもたらさないため、EA配下の時よりも、開発、マーケティング、コミュニティの発展に投資しようとするでしょう。
結局は食べてみないとプディングの中身はわかりません。しかし、これは変化であり、ブロードソードの命運はUOの成功にかかっています。
彼らには情熱、開発者、エンジニア、QA、アーチスト、そしてCSR(企業の社会的責任)があります。彼らに欠けているものはPRとコミュニティ・マネジメントです。あなたと私で、彼らが正しいパートナーを選ぶこと、彼らのマーケットに最もふさわしいパートナーを選ぶことを願いましょう。

http://valourcorp.com/services(デッドリンク)

若き実業家の成功を、遠い日本の地から暖かく見守りたい。

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